カタチを創る(その1)
綿棒はアート作品ではない。このことを理世には伝えたい。おじいちゃんの流星はずっと思っていました。でもどうやって?自分が子どもの頃に親がすすめてくれたものが素直に受け入れられなくて、その時のことが忘れられませんでした。
クリスマスの時に、折り紙に切り込みを入れてツリーをつくったとき、どうしてこの子はうまく作れないのかしらね、と母親と祖母が話していたを覚えていました。
だったら、理世の前では自分が楽しそうになるしかないです。
緑色のアクリル絵の具で綿棒を一本ずつ塗っていると、理世が部屋に入ってきました。
おじいちゃん、何やっているの?
色を塗っているんだよ。
そうなんだ、理世が夢で見た松の葉さんのダンス、この綿棒みたいだった。
おおそうか、松の葉も一なるものに近いかな・・・しかしこの綿棒じゃないと一なるものはできないんだよね。日本には綿棒があった。フムフムすばらしい。
理世も綿棒したーい。
おおそうか、ムフフ、綿棒で一番はじめの火の形を創ってみようか。まず、綿棒を六本用意して。
はい!六本、いち、に、さん、よん、ご、ろく 綿棒・・・かわいいね。
まつ姫のところで松の葉さんたちのダンス、キラキラしていたなぁ。この形は三角なの。
うん、そうだ、三角だ。三角がいくつあるかな。
三角がみっつ、だから三角なの?
よく数えてごらん、三角は何枚あるかな。
あ、四枚だ。下にも隠れていた。どうして三角なのに四枚なの。
そうなんだよ、四面あるから、正四面体というよ。
セイシメンタイ、セイシメンタイ、セイシメンタイ。
いいよ別に覚えなくて、三角が四枚で火だよ。
何で火っていうの。
そうだな、炎が立ち上がるように見えるかい。
理世は宇宙そのものなんだ。だから理世の中にも火が入っているよ。ゆうくんのこと好きだって思ったとき、熱い思いが胸にこみあげてこなかったかい。
それが火のエネルギー、笑ったり、明るくふるまったりするのもそうなんだよ。
へー、あの時あったかかった。今もここが熱い。と胸のあたりを指しました。
おじいちゃんも熱い?
あー、熱いよ。いつもここに熱さがあるか確かめられる。熱いとき、熱くないとき、火が大きくなったり小さくなったりしているよ。
まず、形をよーく見て、ボンドでつけてごらん。
えっと、まずは三角かな。あれつかない。
ボンドの量が多いとなかなか乾かないから、のんびりのんびりやろうね。
動かなくなってから上のとんがりをすればいいよ。
上のとんがり、おじいちゃーん、ここ押さえてて。
ハイ、ハイどこ?
ここ、オッケー、いい感じ。じゃあまたのんびり。カフェラテでも飲もうか。
うん!
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